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はらすすむ 先輩

原晋 先輩

PROFILE

1967年広島県三原市出身。1989年中京大学を卒業。会社員時代を経て2004年に青山学院大学陸上競技部監督に就任。2015年の箱根駅伝で同陸上競技部を初優勝に導き、以後4連覇の偉業を成し遂げている。
2018年3月早稲田大学大学院スポーツ科学研究科・トップスポーツマネジメントコース修了。

2015年以降、青山学院大学陸上競技部を箱根駅伝優勝に導き続ける原晋監督。
今回は原監督が思う指導者の在り方や学生との関わり方、そして監督自身の学生時代についてお話を聞きました。

反省の4年間

──大学生活はどのように過ごされましたか?

自慢できることはありません(笑) 目的もなくだらだら過ごしてしまった反省の4年間ですね。
高校時代、部活動が厳しかった反動で、陸上から解放されたいという想いが強かったです。そのせいか、大学で陸上競技を志す覚悟というものがありませんでした。体育教員になりたいという気持ちもありましたが、勉強に繋げることはできませんでしたね。今考えてみたら非常にもったいなく、後悔しかない学生生活です。

──では、もし学生時代に戻るとしたら、何をしたいですか?

陸上や学園祭、勉強、友達づくりなど、何でもいいので、さまざまなことに本気でぶつかる4年間にしたいです。陸上競技であれば、やはり箱根駅伝ですね。1つのことを追いかけて青春ドラマのように突っ走りたいですね。

──大学生活で今に影響していることはありますか?

人との出会いですね。学生の間まだは責任を問われることが少ない、言わば「モラトリアム」なので、どんどん失敗するべきだと思うし、多少ならやんちゃなことをしても良いと思います。『成功の反対は失敗ではなくて、やらないこと』という言葉がありますが、本当にその通りだと思います。私にとって大学での4年間は、人との出会いを通して心が豊かになった期間でした。失敗や周りからの批判を恐れずに、いろいな出会いを大事にしたいと思えるようになりましたね。

駅伝界“初”のマネジメント

──ご自身の学生生活と、部活動に励む学生を比較してどう思われますか?

やはり羨ましいなと思います。学生たちが私のことを指導者としてどう感じているのかは分からないけれど、彼らにはたくさんの良い指導者と出会ってほしいです。スポーツだけでなく、学問の世界でも同じだと思いますが、良い指導者・師匠との出会いは自分を成長させてくれます。

──原監督の考える、良い指導者とは何ですか?

“未来志向で明るい”というのは、チームの雰囲気づくりをする上で大事なことだと思います。学生の意見を一度は受け止め、共に考えられる前向きな姿勢が、学生が持つ壁の突破口です。何枚も壁を破ったその先に、初めて答えが出てくるのだと思います。新しい意見を取り入れられる遊び心が大切ですね。否定から入ってしまうと、新しいアイデアは浮かびませんから。

──では、そのスポーツでの経歴が少ない方が指導者になることを、どう考えていらっしゃいますか?

絶対になるべきだと思います。今までは、その当該スポーツで活躍した人がそのまま指導者になるケースがほとんどでした。例えば箱根駅伝の指導者の中でも、指導者経験や箱根駅伝出走経験のある方が大多数です。私のように箱根駅伝も指導者としても経験がない、という人間が指導者になったケースはあまりありません。ですが、経験の少ない人間が指導者に向いてないのかと言われると、そうではないと思います。指導には普遍性があり、どのようなチームにおいてもマネジメントは絶対に必要になってきます。競技スキル以前にマネジメント能力が必要なんです。
アスリートとしての輝かしい成績の有無に関係なく、マネジメント能力のある人がどんどんスポーツ界に入り込むことによって、スポーツの価値を高めていって欲しいですね。

──そうなんですね。現在も監督として、マネジメントに重点を置いて指導されているのですか?

そうですね。自分自身が経験の少ない監督なので、マネジメント能力は誰にも劣らないように意識しています。最近講演活動をしている中で、『原さんは駅伝界で初めて、マネジメントを取り入れた方なんですね』という言葉をいただいたのは、非常にうれしかったです。

“何もしない”が一番の失敗

──早稲田祭2018のキャッチコピー“「好き」に情熱を。” にちなんで、現在情熱を注いでいることはありますか?

最近さまざまなスポーツで不祥事が発覚している中で、今のスポーツ界を見つめなおす必要があると思います。そこで新しい視点から見た、新しいスポーツ界の在り方というのをスタンダードな形にしたいですね。

──新しいスポーツの在り方とは、具体的にはどのようなものですか?

支配型の体育運営にならずに、学生に寄り添い、信頼関係を重視したサーバント型体育運営という新しい指導者像を提示します。学生の意見に耳を傾けることで、学生が主体的に行動できる環境を整えることができます。
これを現在のスポーツ界で実践することで、新しい指導者像が世に広められたらいいですね。この活動からスポーツ選手、指導者双方の社会的地位向上を訴えていきたいです。

──最後に現役の早大生に一言お願いします。

熱き想いをもって学生生活を謳歌しなさい。
『真面目にやりなさい』とは言いません。たくさんやりたいことをやりなさい、たくさん楽しみなさい、たくさん悲しみなさい、たくさんの喜怒哀楽を感じなさい。人間はロボットのような無機質なものではなく、さまざまな感情があるからこそ面白いんだと思います。例えば1か月間多摩川の河川敷で野宿生活やってみようとか、ヒッチハイクでどこまでいけるか試してみようとか(笑) 『何もしない』ことが一番の失敗です。少しでも気になることは、実際に取り組んで多くの経験をしてみてください。